コロナ禍で生まれた音楽

コロナ禍でいろいろな楽しみが制限されてきました。飲み会なし、帰省なし、コンサートなし...それでも少し収まった時には、頃合いをみてささやかに楽しむ。蔓延してきたら控える。みんな健気にやっていますね。

こんな中だからこそ生まれた音楽もあります。私の師匠、ジャンジャック・ファンベル氏の「Marche d'Espoir<希望の行進>」です。一昨年、ご自身がコロナに感染し昏睡状態となりました。その時の経験と感謝を曲にしたものです。

Marche d'Espoir
<希望の行進>

YouTubeに、この曲のギター版と吹奏楽版の動画があります。

Jean-Jacques Fimbel氏のことば

わたしはコロナからの生存者です。コロナの第1波がフランスで猛威をふるっていた2020年の3月、アルザス地方の病院は患者であふれかえっていました。私も感染し、17日間、昏睡状態が続きました。

私は奇跡的に回復し、何週間にも及ぶリハビリと献身的な治療のおかげで、話す、食べる、歩く、書くといったことが再びできるようになりました。

退院して家に戻り、最初にしたことはギターを弾くことでした。でも弾けなかった、、、衰えていたのです。その後、忍耐強くがんばって、コンサートができるまでのレベルに戻すことができました。

この経験とお世話になった方々への感謝を表す方法をずっと模索してきました。そして、医療従事者へ感謝を表し、コロナ犠牲者へ捧げるために、葬送行進曲を書くことに至り、そのタイトルを<希望の行進>と名付けました。

Jean-Jacques Fimbel氏 YouTubeの説明欄から引用(翻訳)

<希望の行進>ギター版
<希望の行進>吹奏楽版

コロナ犠牲者と医療従事者へのトリビュート

コロナ第6波では、重症者、死者の割合は以前に比べて減ってきたようです。オミクロン株のせいか、ワクチンのおかげか、それとも感覚的に慣れてしまっただけなのか?

日本でも、デルタ株のピーク時には、毎日、たくさんの重症者・死者の数が発表され、今まででこれほど「死」を身近に感じたことはありませんでした。人間が弱い存在であることを思い知らされました。

どんなに強い人間でも、いざという時には医療従事者に頼ります。一人の力だけで生きていくことなんてできないんです。支えてもらうことも大事。支えることも大事。祈ることも大事。

私はこの曲を聴いて、支えあうこと、いたわりあうことの大切さを感じました。そして、自分は危険に身を置きながらも、人の命を助ける。そんな医療従事者への感謝と尊敬の気持ちでいっぱいになりました。